HANDS世田谷は、以下の「緊急要望」を6月1日に、小宮山洋子厚生労働大臣宛に提出しました。
厚生労働大臣 衆議院議員 小宮山 洋子 様
【緊急要望】
生活保護制度の安易な支給水準の切り下げや扶養義務の強化をしないでください!
2012年6月1日
自立生活センターHANDS世田谷
日ごろの障害者制度改革、福祉向上へのご活動に敬意を表します。
私たちは、どんなに重い障害があっても地域で自立した生活ができる社会をめざして、22年前に世田谷で設立した、自立生活センターHANDS世田谷です。
この間、人気お笑いタレントの母親が生活保護を受給していたとの週刊誌報道とそれを材料にした国会質問に端を発して、生活保護の話題が加熱しています。
報道によれば、小宮山大臣は「生活保護費の支給水準引き下げ」や「生活保護受給者の親族が受給者を扶養できない場合、親族側に扶養が困難な理由を証明する義務を課す生活保護法改正」を検討することを表明されたとのことです。
この大臣の表明が報道の通りであるならば、私たちは断固抗議するものです。
まず、現在の生活保護の水準は、憲法25条に保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ためのギリギリの水準です。最低賃金との比較を言う人もいますが、それは最低賃金のほうが低すぎるのです。支給水準の引き下げには断固反対します。
そして、扶養義務の強化も絶対に許せません。
そもそも、生活保護法上、扶養義務者の扶養は、保護利用の要件とはされていません。成人に達した子どもの親に対する扶養義務は、「その者の社会的地位にふさわしい生活を成り立たせた上で、余裕があれば援助する義務」にすぎず、しかも、その場合の扶養の程度、内容は、あくまでも話し合い合意をもととするものであるという、制度上の原則はまったく議論されず、感情的な報道が、人々を煽っています。
障害を持つ人たちの生活を考えてください。
家族介護を受けている障害者が、家族に殺される事件は後を絶ちません。家族に依存しない生き方を求めて、自立生活運動は始まったのです。だからこそ、障害者自立支援法違憲訴訟団と国との基本合意文書で「収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害児者本人だけで認定すること」との項目が入っているのではないですか。この基本合意を交わしたのは、民主党政権であり、サインをしたのは当時の厚労大臣です。小宮山大臣は、政権交代の原点を忘れて、自立生活運動の精神を踏みにじり、また障害者と家族が共倒れするような社会に逆戻りさせようというのですか。
生活保護が財政を圧迫しているというように言われることもありますが、そもそも日本の生活保護利用率は1.6%程度であり、諸外国(ドイツ9.7%、フランス5.7%、イギリス9.3%)と比べても低く、制度の利用資格のある人のうち2割弱の人しか利用し得ていないという、極めて低い捕捉率のほうが問題です(2011年11月9日日弁連会長声明)。また、財政が厳しいのは、高額所得者の所得累進課税を引き下げすぎ、OECD諸国の中でも格差拡大が上位になっているような政策に誤りがあるのではないですか。
年金や手当てなどの所得保障が貧弱な現状では、生活保護が切り下げられれば、多くの障害者は自立して地域で生活することができなくなります。
もう弱い立場の人たちをいじめる政治はやめてください。生活保護水準の切り下げと扶養義務の強化をしないでください。
心から 心から お願いいたします。
厚生労働大臣 衆議院議員 小宮山 洋子 様
【緊急要望】
生活保護制度の安易な支給水準の切り下げや扶養義務の強化をしないでください!
2012年6月1日
自立生活センターHANDS世田谷
日ごろの障害者制度改革、福祉向上へのご活動に敬意を表します。
私たちは、どんなに重い障害があっても地域で自立した生活ができる社会をめざして、22年前に世田谷で設立した、自立生活センターHANDS世田谷です。
この間、人気お笑いタレントの母親が生活保護を受給していたとの週刊誌報道とそれを材料にした国会質問に端を発して、生活保護の話題が加熱しています。
報道によれば、小宮山大臣は「生活保護費の支給水準引き下げ」や「生活保護受給者の親族が受給者を扶養できない場合、親族側に扶養が困難な理由を証明する義務を課す生活保護法改正」を検討することを表明されたとのことです。
この大臣の表明が報道の通りであるならば、私たちは断固抗議するものです。
まず、現在の生活保護の水準は、憲法25条に保障された「健康で文化的な最低限度の生活を営む」ためのギリギリの水準です。最低賃金との比較を言う人もいますが、それは最低賃金のほうが低すぎるのです。支給水準の引き下げには断固反対します。
そして、扶養義務の強化も絶対に許せません。
そもそも、生活保護法上、扶養義務者の扶養は、保護利用の要件とはされていません。成人に達した子どもの親に対する扶養義務は、「その者の社会的地位にふさわしい生活を成り立たせた上で、余裕があれば援助する義務」にすぎず、しかも、その場合の扶養の程度、内容は、あくまでも話し合い合意をもととするものであるという、制度上の原則はまったく議論されず、感情的な報道が、人々を煽っています。
障害を持つ人たちの生活を考えてください。
家族介護を受けている障害者が、家族に殺される事件は後を絶ちません。家族に依存しない生き方を求めて、自立生活運動は始まったのです。だからこそ、障害者自立支援法違憲訴訟団と国との基本合意文書で「収入認定は、配偶者を含む家族の収入を除外し、障害児者本人だけで認定すること」との項目が入っているのではないですか。この基本合意を交わしたのは、民主党政権であり、サインをしたのは当時の厚労大臣です。小宮山大臣は、政権交代の原点を忘れて、自立生活運動の精神を踏みにじり、また障害者と家族が共倒れするような社会に逆戻りさせようというのですか。
生活保護が財政を圧迫しているというように言われることもありますが、そもそも日本の生活保護利用率は1.6%程度であり、諸外国(ドイツ9.7%、フランス5.7%、イギリス9.3%)と比べても低く、制度の利用資格のある人のうち2割弱の人しか利用し得ていないという、極めて低い捕捉率のほうが問題です(2011年11月9日日弁連会長声明)。また、財政が厳しいのは、高額所得者の所得累進課税を引き下げすぎ、OECD諸国の中でも格差拡大が上位になっているような政策に誤りがあるのではないですか。
年金や手当てなどの所得保障が貧弱な現状では、生活保護が切り下げられれば、多くの障害者は自立して地域で生活することができなくなります。
もう弱い立場の人たちをいじめる政治はやめてください。生活保護水準の切り下げと扶養義務の強化をしないでください。
心から 心から お願いいたします。