私は4歳から世田谷区に住んでいます。
両親が亡くなり、一時期施設にも入っていましたが、
ここに戻ってきたのは育ったまちが恋しかったからです。

そのとき以来、どうしたら私たち障害者は自分自身の主体性を確立できるか、
地域の人々と共に生きていく関係を作るためには何をすればいいかが、
私のテーマとなりました。

HANDS世田谷創設のきっかけは、障害者の種別を越えて仲間を増やしたいという思いから。
まず、障害者の自立には家族以外の介助者が必要であるとの考えから、
9年間で800人の介助者を育てました。

これは、障害者とその家族が、互いに親離れ子離れしないと、
本当の自立は出来ないという私自身の経験に基づくものです。

私が一番うれしいのは、
ピア・カウンセリングによって、障害者が次第に
「自分の力で生きてみよう」という意欲を持ち始めるとき。

表情が豊かになり、積極的に問題をうけいれられるようになるからです。
このように障害者たちも変わる努力をしています。

まちの皆さんも、小さなことでいい。
例えばゴミだしを手伝ってくれるだけでもいいから、
私たちとの間に線引きをしないでかかわってほしいと思います。

HANDS世田谷はどんな障害者にも、
家族にも、また私たちの活動に興味を持つすべての人に開かれています。
どうぞ利用してください。

<1998年に発行された世田谷区報掲載記事より>